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Eterniq Notes

本人AIは、本人に似ていればいいのか

自分と同じ声で話し、同じ表情を見せ、よく使う言葉まで再現するAIがあったら、多くの人は驚くと思います。私も、まずは「どこまで似ているのだろう」と確かめたくなるはずです。

しかし、そのAIに誰かとの会話を任せるとなると、気になることが変わります。

自分が一度も考えたことのない問題について、自分らしい口調で答えていたら。その答えが、自分の意見として相手に伝わっていたら。

見た目や話し方が似ているほど、違いに気づきにくくなるかもしれません。

Everlinkを考える中で、私たちが繰り返し立ち戻るのは、この問題です。

例えば、ある人が仕事について相談を受けたとします。その人は普段、挑戦することを勧めるタイプかもしれません。しかし、相談相手に守るべき生活があると知れば、慎重な判断をすることもあるでしょう。

「この人は前向きなことを言う」という特徴だけでは、その判断は再現できません。どのような経験から挑戦を勧めるようになったのか。何を失うことには慎重なのか。相手の事情をどこまで聞いてから答えるのか。

私たちが本人らしさとして扱いたいのは、そうした判断の背景です。

口癖を覚えることに加えて、その人が何を大切にし、どのような理由で選んできたのかを知る。それでも、残された情報だけで、その人のすべてを理解できるとは考えていません。

だからこそ、本人AIには答えない判断も必要です。

本人が語っていないことについては、「この点について、本人の考えは確認できていません」と伝える。本人が残した経験を紹介する場合も、それを現在の状況にそのまま当てはめてよいかは、分けて考える。

話し方が自然であるほど、こうした区別は大切になります。本人が実際に述べたことと、AIが情報をもとに補ったことが混ざれば、相手には境目が分からなくなるからです。

本人にとっても、自分の考えを確認し、修正できることが必要です。

人の価値観は、ずっと同じではありません。以前は正しいと思っていたことを、別の経験を経て考え直すことがあります。昔の発言が残っているからといって、それが今の本人の答えとは限りません。

もし本人AIが過去の自分だけを再現し続けるなら、本人が変わっていくことを妨げてしまいます。

「あのときはそう考えていた。でも、今は違う」

その変化を反映できることも、本人らしさの一部だと思います。

さらに、知っていることをすべて話してよいわけでもありません。

親しい人にだけ話した経験、仕事上の限られた相手に共有した判断、まだ公にしたくない考え。人は、相手との関係や状況に応じて、話す範囲を選んでいます。

本人の情報を多く持っているAIほど、誰に何を伝えてよいかを、本人が決められる必要があります。その線引きを守ることまで含めて、代理として任せられるかどうかが決まります。

Everlinkでは、人の経験や価値観、判断の背景を、ほかの誰かが活用できるPersona AIの形にすることを目指しています。

そこには、本人がその場にいなくても、経験が誰かの助けになる可能性があります。一人では応じきれなかった相談や問いに、自分が蓄積してきたものを届けられるかもしれません。

その可能性を育てるために、私たちは「本人に似ている」という印象だけで完成としたくありません。

本人が何を託したのか。そのAIはどこまで答えてよいのか。相手にはAIであることが伝わっているか。間違いがあれば、本人が訂正したり、利用を止めたりできるか。

こうした条件を、一つずつ設計する必要があります。

本人AIは、本人に似ていればいいのか。

私たちの現時点での答えは、似ていることは大切でも、それだけでは十分ではない、というものです。

自分の考えを大切に扱い、分からないことを勝手に埋めず、自分が決めた範囲で話してくれる。その積み重ねがあって初めて、「このAIになら、自分の一部を任せられる」と思えるのではないでしょうか。